小さい頃から車が好きだった彼。自動車整備の専門学校を卒業後、ディーラーで乗用車の整備士として6年間勤務。小田急バスへ中途入社し、現在は仕事とプライベートを両立しつつ、バスの整備士として技術を磨いている。
前職では何をしていたんですか?
乗用車のディーラーに新卒で入社し、整備士として働いていました。「大好きな車の整備ができる!」と楽しみにしながら入社したのですが、実際はお客様へのヒアリングや見積もり作成などが想像以上に多く、なかなか整備の仕事にかかわることができませんでした。そのうえ残業も多く、趣味だったドライブに行くことも減っていました。
そうして悩んでいたとき、知人が小田急バスを紹介してくれたんです。調べてみると、ちょうど整備士の求人募集が。「とにかく行ってみよう」と、小田急バスへの転職を決めました。
前職との違いはどこに感じますか?
まず大きく違ったのは、働き方。前職でやっていたようなお客様対応はないため、整備の作業に集中できています。さらに、毎月の整備計画もあらかじめ綿密に組まれていて、それに沿って作業を進めるので、残業はかなり少ないと思います。必然的にプライベートの時間が増え、今では月に2回はドライブにも行けるようになりました。
営業所内の雰囲気も全然違いますね。すべての作業をチームで進めていくので、わからないことがあっても気軽に他のメンバーに訊くことができるし、丁寧に教えてくれる。まだ経験の浅い私はすごく助けられています。
転職して最も苦労したことを教えてください。
同じ「車」とはいえ、乗用車とバスではその構造やパーツが大きく違っていて、私にとってはほぼゼロからのスタートでした。一つひとつの作業手順を覚えるのに必死です。そこで私は、一日の作業内容と重要なポイント、自分の気づきなどを毎日ノートに書きとめるようにしました。そのノートは常に持ち歩き、わからないことが出てきたら見返すようにしています。いわば私にとっての教科書ですね。もちろん、これは今も続けていますよ。
それと、車両の大きさに比例して部品のサイズも乗用車のものよりもかなり大きくて重い。入社前と比べると、筋力がついて体が少し大きくなった気がします。
バス整備士の仕事の「魅力」は
何だと思いますか?
さまざまな車種を扱うディーラーとは違い、バス会社では1台の車両を定期的に整備することで10年以上走らせ続けることがほとんど。一つひとつの部品も同じで、たとえ壊れていても修理できる程度であれば修理して、長く使えるようにします。同じ車両、同じ部品を何度も整備するので、自然と愛着がわいてくるんです。
そうして自分が整備したバスに、たくさんのお客様が乗る。街を走る小田急バスを見るたび、「自分の仕事があの人たちの役に立っているんだな」と実感します。日常生活のなかでそんな風に思える仕事って、なかなかないですよね。
今後の目標を教えてください。
私がいつもお手本にしているのが、私より1年先に入社した先輩たち。先輩と言っても年齢は私の方が上なんですが(笑)。彼らの作業は正確なだけでなく、一つひとつに工夫が隠れていて、いつも効率的。「その手があったか」「こんなに早く終わるのか」と、その発想力に驚かされることばかりです。
今は彼らに教わりながら見よう見まねで仕事をしている私ですが、一人の整備士として、いつまでも教わるばかりではいられません。今度は私が後輩に教える立場になれるよう、もっと知識と経験を積んで腕を磨き、自分ならではの“技”を身につけたい。そのためにも、まだまだ努力の日々です。